外壁塗装 横浜曽根塗装店

塗料の黙示録(塗料の比較テスト) 比較試験による塗料性能解明の試み

第2章:水性シリコン樹脂塗料
【7】塗料メーカーの方からの御意見


2004年4月末に『塗料の黙示録』をアップして早くも3ヶ月,
今回初めて塗料メーカーの方からメールでの御意見をいただきましたので,下記に御紹介いたします。

 

 

Subject: 曽根塗装店アンケート 2004.07.27 00:29
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[お名前]
なむ

[性別]
男性

[年齢]
20代後半

[御職業]
塗料会社(技術部)

[HPへの御感想]
塗装屋さんにも塗料のことを理解してくださっている方がいると知ってホっとしました。
よくわからないまま「塗るだけ」という人が多いと営業から聞かされるので・・・。

[御質問・御相談]
汚染試験について、開発サイドからのアドバイスを・・・。
あのような試験方法を塗料メーカーも実際行っています。
ですが、あれだけで汚染性を判断するのは少々危険です。
あの試験方法だと壁面全体に付着した汚れについての性能しか分からないからです。
(ちょっと分かりにくい表現ですが)
もっと言うと、この試験方法では汚染性能が樹脂のTg(樹脂の硬さ)のみに依存し、
親水性などは関係なくなるという論文も発表されています。
(だから私もこの試験方法はもう行っていません)
実際の壁面では「窓ワク」などから発生する「雨スジ汚染」が問題になるケースが多いんです。
(あんまりクレームには直結しないんですが・・・。)
そこで、メーカーが行う一般的な試験方法は「折り曲げ板」を使用する方法です。
「7×30センチ」ぐらいのアルミ板に塗装して、中央部分から「くの字」に曲げたものを
作製し、それを垂直に立てて暴露試験して汚染性を見るという手法です。
これにより、垂直面に「雨スジ」が発生するので、その差を見るのです。
ただ、この方法でも「同系統の塗料」だと差がつきにくい傾向にありますね。
時間もかかるし。(2〜3ヶ月は見ないとだめかも)
私は1ヶ月ぐらいで差を出せるような試験方法を確立しましたが、これは企業秘密なので
教えられません。
とにかく、雨スジが発生するような試験方法を考えてみてください。
(私はホームセンターに材料を買いに行って自作しましたから、特別なものは必要ないです)

「塗膜の親水性が〜」という企業のうたい文句は「雨スジ汚れ」に対して本領を発揮する
ものだと私は考えています。

以上、長文・駄文失礼いたしました。

 


アンケートにはメールアドレスの入力がなく,返信できないので,以下,予告を兼ねたお返事です。

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『なむ』さん,アドバイスありがとうございます。
御指摘の件,以下にコメントさせていただきます。

 > メーカーが行う一般的な試験方法は「折り曲げ板」を使用する方法です。

「折り曲げ板」は低汚染を主張する塗料のカタログに写真が掲載されていることが多く,存じております。
けれども,「折り曲げ板」を当店の屋根に設置するためには,強風でも飛ばないように,鉄骨等で
しっかりした台を作る必要があり,なにぶんビンボーな零細塗装店ゆえ,費用の問題から断念しました。
但し,

 > あの試験方法だと壁面全体に付着した汚れについての性能しか分からない

との御指摘は,私も感じていたことであり,

 > 雨スジが発生するような試験方法

を模索した結果,今後公開予定の【第4章】では「塗り板」での試験に加え,下の写真のようなテストも
行いました。

 

曽根塗装店式塗料汚染性試験法です

 

コレ↑は何なのか?というと,縦樋の塩ビパイプに10種類の弱溶剤系塗料を塗って,屋根に横倒しにして
ステンレスの針金で固定してあるのです。

この他にも,塗り板の上部の半分に15mm×15mmのアルミ製のアングル(断面がL字型の棒)を斜めに
取り付ける方法を検討しましたが,複数の塗り板でアングルの取り付け角度を一定にする必要が生じ,
作成が厄介という難点があり却下。

要は晴れた日に積もった粉塵が雨水によって不均等に流れるようにすればよいわけで,現場での経験から
水平のパイプには雨筋汚れが付きやすいことを思い出し,試してみたのです。
で,結果は上々,とても雨筋汚れが現れやすく,「折り曲げ板」よりも設置がはるかに簡単です。

この方法は

 > 企業秘密なので教えられません

と『なむ』さんがおっしゃる

 > 1ヶ月ぐらいで差を出せるような試験方法

とは異なるかもしれませんが,やはり1ヶ月くらいで歴然と差が出ます。
《塗料メーカーの方,是非マネしてみてください。だけど,カタログやHPに写真を載せる場合は
「曽根塗装店式パイプ雨筋試験法」って書いてリンクしてくださいね(笑)》

なお,『なむ』さんのメールの最後の,

 > 「塗膜の親水性が〜」という企業のうたい文句は
 > 「雨スジ汚れ」に対して本領を発揮するものだと私は考えています。

との御意見ごもっともです。
全体にまんべんなく汚れれば目立たないわけですから。
しかし,当方の「曽根塗装店式パイプ雨筋試験法」と「塗り板」での試験結果を見比べると,やはり,
「塗り板」が汚れる塗料はパイプにも雨筋汚れが顕著に現れ,「塗り板」が汚れない塗料は雨筋も薄いので,
2つの試験結果は正比例している印象です。
なので,

 > この試験方法では汚染性能が樹脂のTg(樹脂の硬さ)のみに依存し、
 > 親水性などは関係なくなるという論文

の内容が,“塗り板は汚れるけど雨筋汚れが付かない塗料(あるいは,その逆)があり得る”という意味を
含むとすれば,私のテスト結果に反していることになり,とても興味深いです。
でも,大学で化学の勉強をしたわけでもない単なるペンキ屋の私としては,そのような専門用語だらけの
論文を読んでも,おそらく咀嚼不能でしょう...。

『なむ』さんからのアンケートは,深夜0時過ぎ,私が見積書の作成をしていた時に届きました。
御自宅のパソコンで仕事関係のHPを閲覧し,時間を割いて文章を綴ってくれた『なむ』さんの
己の仕事に対する姿勢に感銘しました。
雨筋汚れの試験装置を自作するような研究熱心な技術者がいる会社なら,優れた塗料を上市しているに
違いないと思います。
私が最も期待しているのは,「我が社のこの塗料は汚れません」という単刀直入なご連絡です。
論より証拠で,私がテストしますので,『なむ』さんがお務めの塗料メーカーの自信作を御教示いただけ
ないでしょうか?

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※ 引き続き塗料メーカーの方からの御意見・御感想を鶴首してお待ちしております。

 

《 2004年7月30日 記 》  

 


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