外壁塗装 横浜曽根塗装店

塗料の黙示録(塗料の比較テスト) 比較試験による塗料性能解明の試み

第1章:あれこれ15種類
(水性アクリル樹脂塗料〜強溶剤2液形シリコン樹脂塗料)


2年前,2002年1月8日,「月刊 建築知識」編集部の大島さんよりメールをいただきました。
外部用塗料についての特集企画案があり意見を聞きたいので面談したい との内容で, 私は率直に,

 > どのような記事になさるのか,むしろ私の方が興味があります。
 > しかし,当店は一般住宅の塗り替え工事を主とする塗装屋であり,大島様の目的に適った話相手として
 > ふさわしいのでしょうか?
 > 当方,今週は12日(土曜日)の午後ならば都合がつきますので,よろしければ,御来訪ください。

という返信をしたためました。

-------------------------------------------------------------------------------------

当日12日は,当店の事務所の屋根の塗り替えをしていました。

テストのために塗装した板を屋根の上に固定する方法をあれこれ考えた末,最も簡単な方法として,
やはり最初にやったように,屋根にブロックを置いて,そこにビス止めすることに決定しました。
たくさんのブロックを置いた後だと塗り替えるときに移動が面倒なので,実験開始に先立って
屋根を塗っておくことにしたのです。

午後,大島さんが当店に来訪,6時間ほどいろいろなお話をしたなかで,大島さんの方から
『実は今,塗装特集のための塗料のテストを行っています』という話題が出ました。
テスト期間は6ヶ月と短いので,耐久性ではなく,汚れに関してのテストとの事。
「月刊建築知識」の実験の結果はカラー写真で誌上に掲載するとのことで,興味津々な私でした。

-------------------------------------------------------------------------------------

ここで余談ですが,この日12日 最後に大島さんから『知り合いの塗装屋さんで,どなたか,話を聞いて
おいた方が良いと思う方がいますか?』と尋ねられた私は,『塗料の汚れや耐久性についての事なら,
愛知県の天野塗装の天野さんがいいですよ。天野塗装のHPには,自社で施工した物件の数年後の状態を
レポートする「あのお宅は今」という面白いコーナーがありますから,是非見てくださいね』と言いました。

その後,4月下旬に大島さんから「執筆依頼書」が送られてきました。
「塗装工事のコスト・見積書について」「改修Q&A」「業者選択の手引き」「塗料と塗材の基本事項」と
課題が4つもあり,合計32,500字,予想を遥かに超える膨大な分量の依頼でした。
このうち「塗料とJIS規格」など職人系の私向きでない堅苦しい内容を含む「塗料と塗材の基本事項」に
ついては官公庁の仕事を多く手掛ける,茨城県のニシノ清塗工の西野一さんを御紹介して辞退しました(笑)
が,あとの3つはお引き受けすることになりました。

締め切りまでの1ヶ月間,昼間現場仕事をしながら数日徹夜してようやく書き上げましたが,構成上の都合で
半分がボツになり,「塗装工事のコスト・見積書について」の原稿だけが掲載されました。

天野さんは私の何倍もの原稿依頼を引き受け,しばらく寝られない(!)日が続いたそうで,その経緯が
『メイキング・オブ・ザ「建築知識8月号」』と題されて天野塗装HPに掲載されています。

-------------------------------------------------------------------------------------

さて,話が逸れましたが,2002年2月19日,15枚の板を屋根に設置しました。

 

2002.2.19,曽根塗装店の屋根の上

 

当店の事務所の建物の屋根は「折板屋根」とよばれる,山型に凹凸加工された金属屋根です。
(ここの2階に今私がキーボードを叩いている部屋があり,夏は物凄く熱いので,遮熱性を期待して純白で
塗り替えましたが,元が薄いグレーだったせいか,体感できるほどの違いは出ませんでした)
「折板屋根」の凹みにブロックを置くと,だいたい南向き45度になるのです。

このように,塗料の性能をテストする目的で塗装した板を屋外での自然環境に置くことを「曝露試験」
あるいは「暴露試験」とよびます。
どこの塗料メーカーでも自社で「曝露試験」の設備を保有しているようで,塗料のカタログには,試験場の
写真が掲載されているものもあります。

また,「塗装した板」は「塗り板」とよばれ,汚れ具合が異なる数枚の「塗り板」の写真を並べて載せて
いるカタログも多いです。(この場合には当然ながら,その塗料の「塗り板」だけは汚れていません)
単に高耐久なだけなら“寿命が長い分だけ汚れが蓄積してしまう”ことになりますから,
「他の塗料と較べてみてください!この塗料はこんなに汚れないんですよ!」てな感じに低汚染性を
アピールする宣伝手法が今や定番になりつつあるわけです。

-------------------------------------------------------------------------------------

屋根の上に設置した15枚の塗り板の中には1缶7千円程度の「水性アクリル樹脂塗料」から,3万円強の
「強溶剤2液形シリコン樹脂塗料」まで,色々です。

その後,これらの「塗り板」の写真は撮っていないものの,たまに屋根に上がって経過を見ていました。
この【第1章】までのテストで私が得た結論は,下記の通りです。

   【1】水性塗料・弱溶剤系塗料はグレードに関わらず同様に汚れる

   【2】水性塗料よりも,弱溶剤系塗料の方が汚れる

   【3】強溶剤ウレタン塗料の汚染の程度にはかなり差がある

最も汚れが少なかったのは「強溶剤2液形シリコン樹脂塗料」だったのですが,これは系統と価格から
考えてみれば当たり前かな,と思えました。

しかし,

   【4】5メートル離れてパッと見たときにはっきりわかるほどの差異はない

ということが,何よりも私をがっかりさせました。

前述の「月刊 建築知識」の曝露試験でも,後に掲載された写真を見る限り,やはり,一目で はっきりと
わかるような大差はありませんでした。

結局,塗料メーカーが謳うほどの「低汚染」などというのは,“実はウソ”なのかも...と思いました。

-------------------------------------------------------------------------------------

※ さて,コレ↑が結論ではコンテンツになりませんよね。
  この後「第2章」と「第4章」のテストにより,上記の
【1】【2】は間違っていることが判明,
  5メートル離れてパッと見ただけでも 違いがわかる塗料も存在することが実証されるのであります。

 

 


前のページへ  次のページへ

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

「塗料の黙示録」の扉のページへ  序章  第1章  第2章  第3章  第4章


曽根塗装店トップページへ   サイトマップはこちらです

無断転載禁止
《 外壁塗装 塗替え 建築塗装  曽根塗装店  神奈川県横浜市 》