外壁塗装 塗替え 神奈川 横浜曽根塗装店

塗替え Q&A外壁塗装・塗替え・建築塗装の質問と回答

[Q&A.10]自分でフローリングを塗り替えたい(1)

  (訪問者からのご質問です。メールでのやりとりを編集して掲載しました。)
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13畳位のリビングの木の床の塗装部分が大分剥がれて来ましたので、塗り替えたいと思っています。
経費の問題もあり、素人ではありますが自分でやる積もりです。
技術的アドバイス又は塗料等(参考になる本でも結構です)お勧めがあれば教えて下さい。
現在、サンドペーパーで塗装部分を剥がしています、材質はカナダ杉です。


現状がどのような仕上げになっているのか,そして,これからどのような仕上げをなさろうとして
いるのかがわからないので,はたして的確なアドバイスたりえるのか心配ですが,材質は無垢板の
ようですので,きちんと施工すればとてもキレイに仕上がると思います。
以下に,手順と注意点を書きますので参考になさってください。

さてまずは,下地調整です。
サンドペーパーで塗装の膜=塗膜を剥がすのはすごくたいへんな作業だと思います。
(13畳のフローリングの旧塗膜総剥離は電動工具を使ってすらかなり難儀な作業です)
が,しかし,美しい仕上がりの為にはこれが非常に重要な工程です。
あまり目の粗いサンドぺーパーを使用するとスリ傷が残ってしまいますから,
《180番のサンドぺーパー》で旧塗膜を“すべて完全に”落としたあと,
《240番のサンドぺーパー》で研摩してください。
ペーパーかけ作業の際には,ゴムの突起付きの軍手を使用することをおすすめします。
素手では指の皮がすり減り,通常の軍手では滑りますし,すぐ穴が開いてしまいますから。
なお,油のシミがある場合やツヤ出し効果のある化学ぞうきんやワックスを常用していた場合には,
それらが木材に染み込んでいて塗料をはじくことがありますので,注意してください。
そのような時には《ラッカーシンナー》で十二分に拭き取りを行ってください。
しかし,何度拭き取っても塗装できる状態にはならないこともあります。
水で濡らしてみて浸み込むようならば大丈夫ですが,水をはじくようだと塗装はできません。

次に清掃です。
丁寧に掃除機を掛けてください(継ぎ目の溝,巾木との境は特に念入りに)。
塗装する際にハケでホコリを拾ってしまうと仕上がりがザラザラになってしまうからです。

塗りに入る前に,養生=マスキングを行いましょう。
巾木やアルミサッシの枠など,“床フローリングと接していて塗らない部分の端”に
《マスキング専用の紙テープ》を貼ってカバーして下さい。
あちこちベタベタと塗料が付くと仕上がりが見苦しくなります。

さて,ここでモンダイです。U様がなさろうとしているのは,“木地仕上げ”でしょうか?
“着色仕上げ”でしょうか?
(木目が見えるように仕上げることを『ニス仕上げ』とか『クリヤー仕上げ』とかというのです
が,木材本来の色のまま無着色で“水で濡らした時の色”に仕上げることを“木地仕上げ”といい,
焦げ茶色やグレー等々木目が見える程度の着色を施してからクリヤー層を加える方法を“着色仕上げ”
といいます。)

着色仕上げの場合には,お好みの色の《オイルステイン》《大量の布》(←タオルではなく,
Tシャツのような糸屑の出ないものがよいです)を用意して下さい。
オイルステインをハケ塗りしたあとすぐに布で拭き取ります。
試しにちょっとだけ目立たないところでテストしてみて,色が濃く付き過ぎる場合には
オイルステインを《塗料用シンナー》(「塗料薄め液」ともいいます)で適度に希釈,
色が薄い場合には塗布後に2分〜3分程度おいてから拭き取りを行ってみて下さい。
色の濃度は木の性(しょう)に大きく左右されますから,試行錯誤の結果で決めるしかありません。
塗り重ね,塗り継ぎは色ムラの原因になりますので,“区切りのいいところまで一気に塗って
拭き取る”を繰り返す,あるいは,“2人1組で1人が塗ったら一定の時間差をおいてもう一人が
拭き取ってゆく”という方法がよいでしょう。
逃げ道を背に,20〜30センチ位ずつ継ぎ目に沿って利き腕の方から横方向に塗っていき,
端まで行ったら逃げ道方向に下がり,利き腕の方から横方向に塗っていき,を繰り返して
中断せずに塗り終えてください。
染み込ませて着色するのが目的の工程ですからあまりたっぷりと塗り付ける必要はありません。
かすれない程度に軽く塗ってください。
拭き取りは2枚の布を持ち,1枚目でざっと拭いたら2枚目でさらに拭き取るようにすると
キレイに拭き取れます。
拭き取ってから半日,最短でも2時間は乾燥させてください。乾燥してくると次第に白っちゃけて
きますが,クリヤーを塗ると元の色にもどりますから心配ありません。
余った塗料は元の容器に戻し《ハケ》《下げ缶》を塗料薄め液で洗ってください。
同じハケをクリヤー塗りにも使用したい場合は100ccほどの塗料用シンナーで洗い→布拭きを5回位,
色が出なくなるまで繰り返し洗って下さい。
着色・拭き取りを行った場合はクリヤー塗りを行う前にもう一度掃除機をかけてください。

塗料用シンナーで希釈するタイプの《1液型ウレタンクリアー》を用意して適度に希釈,
着色と同じ手順で塗り進めていってください。
横→縦と手早くハケを動かし,塗料を均等に広げてから,
横方向利き腕の方に“飛行機が離陸するように”均していってください。
あまり何度もなすっていると,塗料が粘ついてきて仕上がりが汚くなる(ごてごてになる)
ことがありますから十分注意してください。
かすれや塗り落としのないように十分に,かつ,溜まりができないように塗ってください。
かなり臭いますので換気は必要ですが,外からの風が吹き抜けるような状態で塗装すると,
乾燥するまでの間にホコリが落ちてこびりつき,仕上がりがザラザラになってしまいますから
注意してください。
使い終わったハケは毛の部分が漬かる程度に塗料を入れた下げ缶の中にそっと立てて,そこに少し
塗料用シンナーを入れます(表面に塗料用シンナーの層ができる位の量です)。
そして,下げ缶ごとビニールで包んで密閉し日陰の涼しいところに置いておけばそのまま翌日
使えます。

翌日,1度目のクリヤーが完全に乾燥してから240番のサンドぺーパーでごく軽く研摩してください。
着色を行った場合は研摩し過ぎると色が取れてしまいますから注意してください。ごく軽く,です。
研摩が終わったら掃除機をかけ,いよいよ仕上げ塗りを行います。かすれや塗り落としが
分かりにくくなっていますから,注意しながら手早く塗り進めてください。

仕上げのクリヤーが完全に乾燥したら,養生テープを剥がします。
塗装面を撫でてみてください。ざらつきが気になるようであれば《600番のサンドぺーパー》
で,ごくごく軽〜く研摩してください。
 
と,以上で完了です。
 
ここで想定している1液型ウレタンクリアーは塗料用シンナーで希釈するごく普通のタイプのもの
です。
和信化学工業の「ワシンフロア」ほか,他社からも同様の製品が多数発売されています。
塗料の必要量は1平方メートル当たり1回塗りで100cc位だと思います。
13畳ということは22平方メートル位ですから,4リットルあればおそらく足りると思います。

日曜大工用品店では「ニス」と称して色付きの(=透明でない)塗料が売られていますが,
これは絶対にヤメてください。
ごく小さいものを塗るなら別ですが,ほぼ必ずムラだらけになります。

《》で括ったものを揃えれば良いわけですが,“一般の方への小売りもしているが本職も買いに来て
いる塗料専門店”で購入してください。
そういう店ならば,オイルステインも置いてあると思います。
プロ用の塗料は缶に説明書きが印刷されていない場合が多いので,お店の人に頼んで,購入する塗料の
パンフレットやカタログをもらって,良く読んでください。
希釈率と塗り重ね時間は特に重要です。

使用後に固まらないくらい完全にハケを洗うには1リットルくらいの塗料用シンナーを必要とします
から,ハケは結局使い捨てになってしまうと思いますが,安物は塗っているうちにどんどん毛が抜け
たりするので避けた方がよいです。
丸で囲んだ“T”の字が刻印されている「マルテー/大塚」製のハケで,柄と毛が銅線で結束されて
いるものなら,一応安心です。
毛の根元がフィルムケースくらいの太さのハケで2000円前後のグレードのものを,
小指くらいの太さのものと手首くらいの太さのものと,合わせて3種類あると作業がラクです。
ローラーでの塗装は泡ができやすいのでおすすめできません。
ハケ塗りの方が平滑に仕上がりキレイです。

上記の「ワシンフロア」は1回塗ったらその日は歩けません。
仕上げは翌日となり,その日も歩けません。
もっと乾きの早いウレタンクリヤーもあり,その方がほこりもつきにくくなるわけですが,
乾きが早い分ハケ塗りが難しくなり,一般の方には扱いかねると思います。

クリヤーにはたいへん多くの製品があります。
以下は当店では使用したことがありませんが,参考になさってください。

水性のウレタンクリヤー:「水性クリヤー」ユニオンペイント
→作業や後片付けが簡単で,乾燥も3時間と早いですが,要3回塗り,着色仕上げの場合には,
水性上塗りが可能なタイプの着色塗料が必要(オイルステインは不適),との事。
“木地仕上げ”をされるのであれば,この塗料は「ワシンフロア」のようなものよりも
おすすめかもしれません。

浸透性保護剤:「ステンプルーフW」コシイプレザービング
→膜を作らず,染み込ませるタイプのドイツ製の自然塗料,水性です。
膜を作らないということは,経時劣化しても,ぺろぺろ剥がれてくるということはないはずです。

ちなみに,
近年は合板(=張りもの)のフローリングが主流となり,一般住宅の新築工事でのフローリング
塗装工事は非常に珍しいケースとなっています。(無垢のフローリングを張って塗装するよりも,
出来合いの張りものを使った方が安くて早いからです)。
あえて合板を使わない場合には,設計士の指定で外国製の特別な塗料が採用されることもある
ようです(『健康』や『自然』を謳う外国製塗料はたいてい驚くほど高価ですが原料にこだわって
作られているようです)。
また,床板の塗り替えも今では珍しい仕事です。電動工具で旧塗膜を全面剥離,シミがあれば
染抜きを行ってから2回塗りないし4回塗りの塗装を施すとなれば,張りもののフローリングを
上張りするよりも工期がかかり,費用が高額になる場合があるのです。
それにまた,現場で塗装すればどんなに注意を払ってもホコリの付着→表面のざらつきは
宿命的に避けられず,板自体にも節があったり,多少のヘコミがあったりします。
いわば,それが本物ならではの“味”なのですが,工場生産の均質化された合板フローリングに慣れた
人々には“味”はむしろクレームのポイントになってしまうのでした。
(過去にニガい経験が...)
『カナダ杉』という材質からして,U様のお宅は,設計事務所が建築に関わったコダワリの住宅と
思いますが,私の想像,当たっていますか?

それから,さらにちなみに,
どこのHPであったか失念しましたが,フローリングには何も塗らない方が良い,という内容の
記述を読んだことがあります。
その方(木材の専門家だったと思いますが..)の説によれば,木材は伸縮呼吸しているのにニスを
塗って湿度調節機能を無効にしてしまうのは馬鹿げている,何も塗らないと汚れるが,
10年を過ぎると自然のヤケで良い味が出てくる,というような事でした。
また,昔は,床板や柱は“米ぬか”で磨いたそうです。
10年20年磨き続けることによって,古いお寺の床板や農家の大黒柱などのように,
独特の色合いで黒光りしてくるわけです。

以上,いささか雑然とした文章になってしまいましたが,この程度のお答えでよろしいでしょうか?

とにかく,時間と体力と根気が必要です。
想像しておられる以上に大変な作業であることを覚悟して,がんばってください!
やり遂げた暁には,“作品”として末永く思い出に残るでしょうし,我が家への愛着も増すことと
思います。
仕上がりましたら,ぜひ,使用した塗料の名称や作業しての感想などお知らせいただきたいと
思います。(楽しみに待っています!)


アドバイスありがとうございました。
29〜30日でサンドペーパーでの磨きを終え、GWの3日から塗装に掛かりたいと思っています。
気が遠くなるような作業ですが、頑張ってみます。
結果はまた報告さして頂きます。


以上,2000年4月22日落手のメールから始ったやりとりです。
その後,どうされたのでしょうか...

 ※「ワシンフロア」はその後,モデルチェンジして絶版となりました。
 ※ 塗料の詳細については,各塗料メーカーに直接お問い合わせください。


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