外壁塗装 横浜曽根塗装店

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[15]12/16 外壁塗装 下塗


● 前日余った時間で少しやっておいた 細めのひび割れの補修の続きをやりました。
  シーリング材ではなく,全面下塗に使用する塗料がチューブに入っているものを使用しました。
  ひび割れに乗せてから,ハケでぼかしてあります。(白い筋がそれです)


細いひび割れの補修


  と,ここまで,「下地調整」として,Vカット,プライマー塗付,シーリング材充填,
  フィラーでの埋め戻し,シーラー塗付,主材吹付,凸部処理など,いろいろやりましたが,
  いずれも,外壁塗り替えの“前処理”です。
  ケレンや高圧洗浄も「下地調整」に含まれる工程であり,これらと養生を終えてしまえば,もう
  工事は半分以上終わったも同然です。
  逆にいうと,ここまでを“簡略化”すれば,とっくに外壁塗り替えが終わっているでしょう。
  (ここまでの作業は工事が終わってしまうとほぼわからなくなる工程なので,その気になれば
  ものすごく“簡略化”して済ませることも可能です)

 

● さて,下準備がすべて終わり,ようやく外壁全面の塗装に入ります。
  が,その前に,全面を下塗りしてしまうと,どこをVカットしたんだかわからなくなってしまいます
  ので,一体,何メートルVカットしたのか?今後の参考データとして記録しておきたいということも
  あって,全面塗装の前に(大雑把ですが)測ってみました。
  ぐるっと一周して目見当で「ここは50センチ,ここは1メートル」という感じでメモっていき,
  それを合計してみたら83メートルでした。

 

● ひび割れの多いモルタル外壁を塗り替える場合,ひび割れていたところが 塗り替えた後にまた動く
  可能性があると仮定すると,ある程度その動きに延びて追従する弾力性のある塗装で覆っておくことが
  好ましいです。
  弾力性のある塗装仕様にも多くの種類があり,ごく特殊なものを除くと,おおむね以下の3種類です。

  【1】複層弾性仕上
  下地の吸い込み止めと密着性を担う下塗「シーラー」→高弾性の中塗(主材)を2回→上塗塗料を2回
  という3種類の塗料による5工程で仕上げます。
  歴史的には以下2種よりも古いですが,以下2種とは比較にならないほど弾力性があり,
  やや語弊のある表現ですが,「本物の弾性仕上」といっても過言ではないでしょう。
  しかし,以下2種よりも工程数が多いため,材料費がかかるとともに人件費が嵩み,工事費用が
  高価にならざるを得ないため,一般住宅の外壁に採用されることはかなり稀だと思います。

  【2】単層弾性仕上
  「シーラー」+上塗塗料2回という2種類の塗料による3工程で仕上げます。
  単層弾性塗料は「上塗で厚みを付ける」のが特徴で,複層弾性仕上の中塗と上塗の機能を兼ねた
  画期的な外壁用塗料として一世を風靡しました。
  俗に「弾性ローラー仕上げ」とよばれて,「ひび割れに強い」という売り方をされることが多い塗料
  ですが,複層弾性仕上が10年程度経過しても弾力性を保持し続けるのに対して,単層弾性塗料の
  弾力性はそんなに長くは続かず,結果的には次の【3】と大差ないと思います。
  初期の単層弾性塗料は汚れやすいという欠点があり,数年前からは「多機能型」と称して,防カビ,
  防藻,低汚染を謳うものが主流になってきています。
  それから,外装仕上げ塗料のランク付け要素としてよく引き合いに出される系統的分類の
  「アクリル→ウレタン→シリコン→フッ素」というグレード分けの中では単層弾性塗料は
  「アクリル」です。
  ところが,昨今の住宅塗り替え市場では,「ウレタン」クラスがスタンダードになりつつあるせいか,
  近年,「アクリルの単層弾性」ではなく「シリコンの単層弾性」が登場してきました。
  しかし,「シリコンの単層弾性」は「シリコン」としてはあまりにも安過ぎるので,私としては
  かなり?です。
  なお,単層弾性塗料は厚く塗ることが前提になっているどろどろの塗料なのですが,これを薄めて
  薄〜く塗る業者が少なくないので注意してください。

  【3】微弾性下塗材(微弾性フィラー)厚塗り+上塗仕上
  単層弾性仕上と同様に2種類の塗料による3工程で仕上げますが,
  下塗として,粘度が低い「シーラー」の代わりに,厚みの付けられる高粘度(どろどろ)の下塗材
  「微弾性下塗材」(微弾性フィラー)を使用する工法です。
  (但し,密着性は「シーラー」よりも劣りますから,下地の状態によっては直接塗付することは
  出来ません)
  単層弾性塗料が複層弾性仕上の中塗と上塗の機能を兼ねたような塗料であるのに対して,
  微弾性下塗材は複層弾性仕上の下塗と中塗の機能を兼ねたような塗料といえます。
  しかし,その弾力性はあくまでも“微”弾性 であって,弾力性を売りにできるほどの弾力性は
  ありません。
  この仕様でのメリットは,弾力性よりも,下地調整の省力化です。
  「微弾性下塗材」の別名「微弾性フィラー」の「フィラー」は「下地調整塗材」という意味で,
  高粘度であるがゆえに,「ヘアークラック」とよばれる髪の毛程度の細かいひび割れがあっても
  下塗に微弾性下塗材を使用すれば,塗るだけで埋まってしまいます。
  もう1つのメリットとしては,複層弾性仕上と同様に上塗塗料の選択の巾が広いということで,
  「アクリル」から「フッ素」までお好み次第です。
  「アレスホールド工法」「オーデリウォールシステム」「ビフレッシュシステム」等々,
  各塗料メーカーが独自のネーミングをしており,ローラーで施工する場合には「厚塗り」と「薄塗り」
  2種類の使用方法が設定されています。
  微弾性下塗材は登場した頃と比べると,その価格がかなり下がってきたため,モルタル外壁の
  塗替え仕様として,単層弾性仕上げに代わって主流になりつつあります。

  以上,ややこしくてわかりにくいと思いますが,要するに,「塗装で出来るひび割れ対策」としては,
  より弾力性のあるものをより厚く塗ることがベターです。
  しかし,「塗膜が延びて追従する」とはいっても限度がありますから,
  「弾性塗料を塗ったからひび割れが生じない」とは言い切れません。
  「モルタルの内側に水を入れない」という意味での防水性の確保のためには,Vカットして
  シーリング材を充填する方が,弾性塗料の塗膜よりも厚いため,安全マージンの高い対処の仕方である

  と思います。

  ━━━━━ ということで,説明がとても長くなってしまいましたが,5種類の見積の中には
  【1】と【3】が含まれており,今回は【3】で決定,上塗塗料には「シリコンの単層弾性」の
  3倍近い価格の「シリコン」を採用することになりました。

 

● では,現場に戻りましょう。
  微弾性下塗材はとりあえず9缶持ってきましたが,これでは足りないはずで,予備を含め あと5缶
  当店にあります。


微弾性下塗材

 


● モルタルの部分は微弾性下塗材を“へちま繊維状”のローラーで「厚塗り」します。
  このローラーは「多孔質ローラー」「砂骨ローラー」「マスチックローラー」「パターンローラー」
  などとよばれるもので,これを使用すると「さざ波形」の模様が加わります。


多孔質ローラー

 


● 屋根の上の棟違いのところから先に塗り始めましたが,ここでえらく時間を喰ってしまいました。
  このお家の屋根は「六寸勾配」,角度でいうと31度,足場無しで施工できる限界の傾斜です。
  屋根の養生に使用している緑色のビニールは滑りにくいタイプのものなのに,作業していると
  ずりずりと滑るのです。
 (マウスポインタを乗せると3工程前の写真に変わります)


破風の下塗前後

 

破風の下塗前後

 


● 屋根の上での下塗が終わってから,次に破風など細かい部分の下塗を先に行いました。
  (下の写真では,横樋がぴったり破風にくっ付いていて塗りにくいので,横樋を取り外してあります)


屋根先端部分(鼻隠・広小舞)の下塗

 


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